摂食障害の体験談

 高校生の時、拒食症と過食症になりました。

 人生でトップクラスに辛い出来事でした。

 当時の様子、克服した経緯などを綴ります。

 

 

 

【過度なダイエットから、拒食症になった】

 私は高校生の時、糖質とカロリーを抑えた食生活で、減量に成功しました。

 当時の食事は、1日糖質10g以下、熱量500㎉以下でした。

 最終的には、キュウリと砂肝しか食べていなかったです。

 

 栄養失調で、頭は働かず、体力は落ち、無気力になりました。

 学習や趣味をする気力も、ありませんでした。

 高校にも通えなくなりました。

 

 ちなみに私は、食べることが嫌だったわけではありません。

 むしろ好きでした。

 スリムな体型のために、我慢していただけです。

 

 美味しい食事も、学校も、趣味の楽しみも、全部犠牲にしてでも、痩せ体型を守りたかったのです。

 

 しかし、数か月経つと、現状に辛さを感じ始めました。

 「色々なものが食べたい」、「学校や趣味を楽しみたい」などの、願望が出てきました。

 でも、食事制限を緩めたら、太りそうで怖くて。

 「止めたいのに、厳しい食事制限を続けてしまう。どうしたらいいの」という状態でした。

 

 医師に現状を説明したら、拒食症だと言われました。

 驚きました。

 「拒食症は食べるのが嫌で、ほとんど食べない状態じゃないの?

 私は、食べるの嫌じゃないし、3食、摂っているんだけど…」と。

 医師は「太るのが怖いから、過度な食事制限をする時点で、拒食症だよ」と言いました。

 

【拒食症から過食症へ】

 医師は「週に数回でいいから、好きなものを食べな。そのくらいなら、太らない」と、私に言いました。

 私は恐る恐る、今まで我慢していたスイーツを食べました。

 甘さが心身に染み渡り、幸福感に包まれました。

 

 好きなものを食べる頻度は、ドンドン増加しました。

 ある日、かなりの量を食べました。

 私は、太ることを恐れ、翌日、何も食べませんでした。

 次の日、体重計に乗ると、体重は増えていませんでした。

 

 ここから「1日食べまくり、数日絶食」のルーティーンが始まりました。

 病院の先生は、良くないと指摘しました。

 私は聞く耳持たず。

 「食べて絶食」は、食べまくっても体型維持できる方法で、止められませんでした。

 

 食べまくる日の食事量は、増加の一途を辿りました。

 ある日の食事は、こんな感じでした ↓

 

 朝  ブドウ1房、リンゴ1個、柿2個、煎餅の大袋、ポテチ2袋、クッキー1箱

 間食 牛乳1ℓ、フランクフルト、ケーキ3個、バナナ4本

 昼  串揚げ40本、カレー、ソフトクリーム2つ

 間食 菓子パン5個

 夕飯 キッシュ、特大パンケーキ

 

 嘔吐せず、全部、腹に収めていました。

 尋常じゃない自覚はあったので、家族に隠れて食べたりもしました。

 満腹でも、食べる快楽に抗えず、食べ続けました。

 この時点で、過食症だったと思います。

 

 過食は、連日続くようになりました。

 ヤバいと思いつつ、自制できずに食べ、罪悪感と自己嫌悪で号泣する日々でした。

  

【苦しい入院生活】

 過食を止められず、入院を決意しました。

 病院という、過食できない環境で徹底管理されれば、治ると思ったのです。

 

 入院初日から、困難は起きました。

 病院食に、食事制限で避けていた、糖質を含む食べ物が入っていたのです。

 「こんな食事では、ダイエット前の体型に戻る」と、尻込みしました。

 担当医は「摂食障害を治したいなら食べろ。病院食なら、食べても太らない」と言いました。

 信じて、私は病院食を食べ始めました。

 

 1週間後、体重測定が行われました。

 入院前より、2㎏増えていました。

 私は、多大なショックを受けました。

 担当医に「病院食は太らないって言ったのに、太ったじゃん!」と怒り、2週間絶食しました。

 点滴も受けず、カロリーゼロの飲み物だけ摂取しました。

 この時は、生命維持だけしているような状態で、ずーっと横になっていました。

 

 絶食期間を経て、体重は入院前より落ちました。

 それでも、病院食はなかなか食べられませんでした。

 

 しかし、外出時に、色々食べるようになりました。

 病院から出れば、飲食店や食べ物を売る店が、溢れています。

 見れば、食べたい欲が止まりませんでした。

 両親は、私の懇願を無視できず、食べ物を与えました。

 外出のたびに、過食するようになりました。

 

 ある日、担当医は私に突然、以下の条件を突き付けました。

 

 ・病棟から出てはいけない

 ・携帯没収

 ・面会禁止

 ・病院食を残さず食べ続ける

 ・標準体重に戻るまでは、退院させない

 

 担当医は、私の状態を見かねて、治療の強化に乗り出したのです。

 

 初日は「過食の心配がない環境で、病院食を完食するだけなら楽勝」と気楽でした。

 すぐに辛くなりました。

 体重が増えると分かっていて食べるのは、物凄く苦しいのです。

 しかし、食べて体重が増えないと、一生病院から出られません。

 苦しみながら食べ続け、退院を目指しました。

 娯楽が一切なく、味方もいない状況で、太る恐怖と戦い続ける生活は、地獄でした。

 

 命を絶とうとしたこともあります。

 コードで首を絞めたり、風呂で溺死しようとしたり、色々と試しました。

 しかし、毎回意識が飛びそうになると、怖くなり、死ぬのを止めてしまいました。

 死に逃げることができず、地獄の入院生活を続けるしかありませんでした。

 

 数か月後、週2回、面会や外出が許可されるようになりました。

 それでも、大抵は病院に閉じ込められました。

 

 私の心は限界でした。

 早く退院したくて、担当医や両親に「私はもう、太るのが怖くない」とをつきました。

 「学校に通いたい」という、もっともらしい理由を主張したかいもあって、私は標準体重に戻る前に、退院できました。

 

 中途半端な治り具合で退院したため、退院後も様々な困難に遭いました。

 

【退院後も、七転八倒

 退院後は、拒食や過食をしようとは思いませんでした。

 「あんな地獄は二度と嫌」という思いでしたので。

 ちゃんと食事を摂ると決め、病院食と同じ、1日1800㎉摂取していました。

 

 数週間後、体重が増加しました。

 「入院中と同じカロリーなのに、何で⁉」と戸惑いました。

 理由は、栄養バランスでした。

 同じ1800㎉でも、栄養バランスが良い食事と、悪い食事とでは、脂肪のつきやすさが異なるのです。

 

 私は、1日1800㎉を保ちつつ、夕食だけ低糖質にしました。

 体重は、みるみる減少しました。

 増加が止まったのは有難いですが、減少が続くのも不都合でした。

 定期的な診察で、体重測定があるからです。

 体重が退院時より減ると、再入院になりかねません。

 

 体重が減り過ぎた時は、測定前に水を4ℓ飲んで、4㎏増やしました。

 測定後、耐えられず、トイレで大量の水を吐き出しました。

 一気に、大量の水分を摂ると、体は拒絶するようです。

 その後は、洋服のポケットに重りを入れ、体重測定に臨みました。

 

 しかし、誤魔化せる体重には、限度があります。

 入院しない程度の体重を維持したくて、週1回カロリーを摂取しました。

 普段の食生活で減った体重を、チャラにしようとしたんです。

 

 高カロリーを摂る日には、よくパンケーキを食べました。

 (後から知りましたが、特定のものばかりを食べるのは、摂食障害の回復時期に、よくあるらしいです)

 太り過ぎるのが怖かったので、カロリーを大量摂取したら、長距離を歩きました。

 40㎞歩いた日もありました。

 

 そんな習慣を続けていたら、心身共に疲弊してきました。

 「何でもいいから、体重を気にせず、お腹一杯食べたい」と思いました。

 

 私は、低糖質の食品(肉、魚、低糖質の野菜)を、大食いする生活を始めました。

 長距離徒歩も並行したので、体重はドンドン減少しました。

 退院時どころか、拒食症の時より少なくなりました。

 定期的な通院は終わっていたので、再入院の心配はありませんでした。

 しかし、体重が減り過ぎて体の機能が低下し、命の危機に差し掛かりました。

 道端で倒れて、見知らぬ方に助けて頂いたこともありました。

 

 ある時、意識が朦朧として、すごく眠くなりました。

 「このまま意識が途絶えて、永眠するのかな」と感じました。

 その瞬間「このまま終わりたくない!生きたい」と強く思いました。

 

 私は経験を参考にして、太らず、痩せ過ぎず、たくさん食べられる食事を考えました。

 まず、魚を食べ、必要なカロリー摂取と、太らないための低糖質を実現しました。

 魚を選んだのは、良質な脂質を含むのも理由の一つ。

 低糖質ダイエットで懸念される、身体疾患のリスクが、減ると思ったのです。

 

 体重維持のためには、低糖質にし過ぎない必要もありました。

 そこで、野菜で多少の糖質を摂取しました。

 食物繊維が多い野菜なら、糖質を摂っても、太りにくいと考えたのです。

 

 この食生活で、太らず、元気に活動できる体重を維持できました。

 学習や娯楽に集中する余裕もできました。

 拒食症後、初めて、安定した生活を送れるようになりました。

 

摂食障害について思うこと】

 摂食障害からは、後々の人生に響く、大きな学びを得ました。

 そうと分かっていても、経験したくなかったほど、辛かったです。

 

 ひとつお伝えしたいのは、私の克服過程は、摂食障害の方すべてには、当てはまらないということ。

 他の患者さんは、入院直後から病院食を食し、順当に回復して退院する方が多かったです。

 

 私見ですが、摂食障害では「食べたくない」、「太りたくない」と思う理由きっかけ解消が、克服に繋がると感じます。

 例えば、インナーチャイルドを癒したり、自分を縛る価値観を捨てたり。

 人間関係や、学校仕事などが原因なら、それらから離れるとか。

 

 私の場合は、幼い頃、母親から体型の指摘を受けたことです。

 しかし、気が付いたのは、摂食障害になってから、10年後です。

 それまでは、摂食障害の原因は、瘦せ体型への憧れだと思っていました。

 「瘦せ体型に憧れたのは、なぜいつから」を考え、真の原因にたどり着きました。

 真の原因を解消するまでは、摂食障害治っても、食生活で四苦八苦しました。

 (詳しくはこちら ↓)

yuyuno-log.hatenablog.com

 

 

 もちろん、病院などを利用し、ひとまず拒食や過食行為を治めるのはアリです。

 余裕ができたら、過去の出来事や、現在の人間関係、生活環境などを見直し、摂食障害の原因を探るといいと思います。